事業承継で従業員にうまく贈与する方法!知っていますか?



こんにちは!

中小企業診断士で下町のコトラー、こっさんです。




事業承継問題で相談される会社の中には、お子様がおられない社長もおられます。


その場合、従業員が事業承継されるケースが多いのですが、相続人でない従業員には当然、相続することができません。


なので、悩まれる社長が多いんですね。

特に株の問題です。



もちろん、従業員の方がお金持ちであれば買い取ればいいだけなのですが、ほとんどが無理な話。。


そこでお勧めなのは、「生前贈与」です!



意外と、生前贈与(暦年贈与)の年間110万円控除は相続人だけに可能だと思われている社長が多いんですね。


生前贈与は、家族や親族以外の他人に対しても行えます!


贈与者と贈与される側の関係に決まりはなく、贈与者と贈与を受ける側の双方の合意があれば、生前贈与を行えるんですよ!

生前贈与(暦年贈与)に関しては、こちらの記事「小規模事業者の相続税対策は何から始めればいい?おすすめを紹介!」をご確認ください。


ただし、生前贈与は血縁関係のない他人に対しても行えますが、年間110万円を超える贈与を受け取ると、贈与税が発生するんです。


贈与税には年間110万円の基礎控除が用意されており、基礎控除額を超えた贈与を受けた際には贈与額に応じて10%から55%の贈与税がかかります。


この贈与税には、18歳以上の子や孫に対して直系尊属である親や祖父母が贈与したときに使用される「特例贈与税率」と、特例贈与税率の条件を満たさない生前贈与の際に使用される「一般贈与税率」があるのですが、他人である従業員は少し税率が高くなる「一般贈与税率」になるんですね。



「え~、税率高くなるのかよ~」


と思ったかもしれませんが、、メリットがあります!



というのも、相続税における生前贈与加算に関して、2024年から重要なルール変更がありました。


相続税においては、一定の生前贈与(暦年贈与)も相続財産に加算されます。

これまでは、亡くなる3年前までの生前贈与が相続税の加算の対象でした。


簡単な例えになりますが、10年間、毎年100万円の生前贈与をしており、合計1,000万円贈与して今年に亡くなった場合、過去3年間の贈与は無かったものとして300万円は相続財産額にプラスされるんです。


ただ、700万円には贈与税も相続税もかからなかったんですね。



しかし、2024年からこの期間が7年間に延長されたのです!!


つまり、上の例で言いますと、300万円ではなく700万円の贈与が無かったものとして相続財産にプラスされてしまうんですよ!
*2024年分から段階的にプラスされるのですが、仮に2024年~2031年の7年間暦年贈与をして2031年に亡くなった場合、2024年~2028年の4年分は100万円を差し引いた金額を持ち戻し、2028年~2031年の3年分は全額持ち戻しになります*簡略化して説明しているので詳細は専門家にご相談ください




これでは、せっかく暦年贈与をしたことによる節税効果がなくなってしまいますよね。。



しかし!

この話は 家族や親族 の話であって、他人である従業員には適用されません!


なので、従業員であれば上記の7年縛りの話は関係なく、相続税が発生しないですよ!!



これは事業承継する従業員にとっては重要な話になりますよね。
*孫やひ孫にも有効です(相続人でないため)


ただし、生前贈与を受けた人が遺言などで財産を受け継ぐと、贈与財産に関しても相続税が課税される場合がありますので、注意が必要です。




仮に、株価が高く年間110万円では間に合わない不安がある場合は、年間で500万円を贈与することも提案しております。


500万円だと贈与税が約10%ほどかかってしまいますが、スピードが違いますし、購入する資金がないのであれば有効だと思います。

なので、是非とも税理士等の専門家を交えて話し合ってみてくださいね!



今回の内容は以上となります。


他人への贈与は「相続時精算課税制度」等、贈与税の節税に役立つ控除や特例を利用できません。

また、贈与税の節税に使える控除や特例は他にもいくつかありますが、いずれも直系尊属から直系卑属への贈与にのみ適用可能です。


しかし、他人への生前贈与は7年間の持ち戻しがない分、有効な対策となり得ます。


もちろん、他にも色々な方法はありますが、まずは生前贈与をご検討ください。



今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです!


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