「ちょっと待った!」生前贈与でトラブルを起こす3つの要因



こんにちは!

中小企業診断士で下町のコトラー、こっさんです。


今回は生前贈与の話です。


生前贈与は相続税対策としては有効です(暦年贈与)が、遺産分割協議を考えると注意が必要になります!

なぜなら、生前贈与は基本的に遺産の前渡しだからです。


例えば、母親(父は死去)に長男Aと次男Bがおり、この2人だけに母親の財産を相続する場合。


母親の財産が5,000万円あり、長男Aさんにマンション購入費用として1,000万円を生前に援助しました。

その後、母親が亡くなり、財産は4,000万円残っています。


結果、4,000万円をAさんとBさんで仲良く2,000万円ずつ分けて、めでたしめでたし。。



とはいきません!


遺産分割協議の際には前渡し分を加味して分け方を考えなければならないんですね。

この前渡し分を「特別受益」と言い、これを遺産に持ち戻して相続分を計算しなければなりません。


なので、遺産4,000万円にAさんのマンション購入費用の1,000万円を足して相続分を考えます。

結果、遺産は5,000万円となり、AさんとBさんにはそれぞれ2,500万円を相続することになるのですが、Aさんはすでに1,000万円を生前贈与してもらっているため、Aさんは1,500万円、Bさんは2,500万円ということになるんです!



ただし、遺産分割協議は両者の合意があれば自由に分け方を決めることができるため、上の例でBさんが生前贈与の1,000万円は持ち戻さなくて良いと言うのであれば遺産4,000万円を2,000万円ずつ分けても問題ありません。



「特別受益」ですが、 生前贈与でトラブルを起こす3つの要因が下記です。


1つ目は特別受益の対象です。


生前贈与の全てが特別受益になるわけではありません。

食費とか学費等、負担が当然的なものはカウントされないんです。


ただ、例えば弁護士や医者になるための多額な学費負担が必要な場合はカウントされます。(他の兄弟を普通の大学に進学させた場合)

新居も多額なので特別受益になりますね。


2つ目は時効です。


特別受益には基本的に時効がないので注意してください!


たとえ50年前の生前贈与であってもそうです。

ただし、現在の金融機関では、預金口座は過去10年前までしかさかのぼれないので実証は難しいでしょうが。。


また、相続開始後10年経つと特別受益分の主張ができなくなって法定相続分で遺産分割をしなければならないので、主張する方は注意が必要となります。


3つ目は持ち戻し免除の意思表示です。


もし、贈与した人が「私が死んだ時に特別受益として持ち戻ししなくて良し」という意思表示をしていた場合には持ち戻しされません。


先ほどの例で言いますと、マンション購入費用の1,000万円は考慮されないことになるんですね。


ただ、法律上では口頭だけでも成立しますが、言った言わないの話になりますので、書面で残しておくことが無難です。



今回は以上となります。


重要なのは生前贈与するにしても、法定相続人である兄弟等に理解を得ておくことです。

兄弟が不公平感を抱えていれば、おそらく特別受益の持ち戻しを主張するでしょうし、必ずもめます。


今は仲が良くても、年月が経てば関係性が悪くなるかもしれませんし、お金が絡むと人って変わりますから。

もめてドロドロになっている家族を多数見てますので。。


ご注意を!!


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